睡眠薬・睡眠導入剤

睡眠薬・睡眠導入剤

睡眠薬・睡眠導入剤について、悪い印象を持っている人が少なからずいるようです。

 

睡眠薬・睡眠導入剤を飲むと依存してしまうから危険、睡眠薬・睡眠導入剤を飲むと頭が悪くなる、睡眠薬・睡眠導入剤を飲むと年を取ってから脳に障害が出やすくなる、

 

等の印象を持っている人もいると思います。

 

しかし、これらの症状は、以前使われていたバルビツール系の睡眠薬・睡眠導入剤による症状です。

 

バルビツール系の睡眠薬・睡眠導入剤は、耐性・依存性・離脱症状が強く、大量に服用すると死の危険もありました。

 

しかし、現在主流のベンゾジアゼピン系の睡眠薬・睡眠導入剤は、これらの副作用が非常に弱く、バルビツール系に比べてはるかに安全になっています。

 

正しく使えば、上記のような危険性はほとんどありません。

 

しかし、薬は使用状況により、様々な副作用を示す可能性があり、完全に安全とは言い切れません。

 

 

睡眠薬睡眠導入剤の違いについてですが、主に入眠目的で使うタイプの睡眠薬のことを睡眠導入剤と呼びます。

睡眠薬の種類

睡眠薬・睡眠導入剤には、主に5種類のタイプがあります。

 

バルビツール酸系

 

非バルビツール酸系

 

ベンゾジアゼピン系

 

非ベンゾジアゼピン系

 

メラトニン受容体作動薬

 

 

副作用などの安全性の面から、ベンゾジアゼピン系、非ベンゾジアゼピン系、メラトニン受容体作動薬の3種類が使用されることがほとんどです。

 

ベンゾジアゼピン系睡眠薬は、経口投与の場合には中枢性呼吸抑制などの危険な副作用はほとんどなく、

 

態勢も生じにくい睡眠薬です。

 

非ベンゾジアゼピン系睡眠薬は、睡眠作用に関係したベンゾジアゼピン受容体(ω1受容体)には作用しますが、

 

抗不安作用や筋弛緩作用に関連した(ω2受容体)には作用しません。

 

このように、非ベンゾジアゼピン系睡眠薬は、ベンゾジアゼピン系とは作用が一部異なってますが、ほとんど一緒と考えて良いです。

 

 

さらに、ベンゾジアゼピン系、および非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬は、

 

作用時間の長さによって、

 

超短時間作用型

 

短時間作用型

 

中間作用型

 

長時間作用型

 

の4種に分かれ、睡眠障害や不眠症の症状ごとに使い分けされます。

ベンゾジアゼピン受容体作動薬の種類

現在、日本で主に使われているベンゾジアゼピン系の睡眠薬・睡眠導入の種類について解説していきます。

 

ベンゾジアゼピン受容体作動薬は、服用してから血中濃度が最高値の半分の値になるまでの時間(消失半減期)によって、

 

作用時間の長さによって、超短時間作用型、短時間作用型、中間作用型、長時間作用型の4つに分類されます。

 

消失半減期を簡単に言うと、薬の効果が無くなるまでの時間と考えておけば良いでしょう。

 

超短時間作用型の睡眠薬は、消失半減期が2〜5時間程度と短く、服用後すぐに血中濃度が上昇し作用を示しますが、

 

翌朝には既に血中濃度は既に有効濃度を下回っていて、眠気やふらつきなどの症状をきたすことが非常に少ないです。

 

 

短時間作用型は消失半減期が6〜10時間と比較的短く、翌朝への持ち越し効果(薬の作用の持続による眠気・ふらつきなど)が少ないです。

 

中間作用型は、消失半減期が20〜30時間であり、そのため、翌日の就寝前にもある程度の血中濃度が保たれています。

 

したがって、連続して使用していると、薬物が蓄積されていきますが、5日程度連続で使用していると、血中濃度が定常状態になります。

 

 

長時間作用型は、消失半減期が50〜100時間であり、夜間だけでなく、日中にも高い血中濃度が維持されます。

 

この4種類のベンゾジアゼピン受容体作動薬の中でどれを選択すればよいかは、不眠のタイプによって使い分けされます。

 

入眠困難が目立つ不眠症には、超短時間作用型あるいは短時間作用型の睡眠薬が有効です。

 

入眠にだけベンゾジアゼピン受容体作動薬が働きかけ、翌朝の持ち越し効果が少なくて済むからです。

 

一方、中途覚醒(夜間睡眠中に覚醒してしまう)や早期覚醒(覚醒するのが早い)などの睡眠の維持の障害が主な不眠症の場合では、

 

長時間、薬の効果の出る中間作用型や長時間作用型の睡眠薬が効果的です。

ベンゾジアゼピン受容体作動薬の薬剤名

ベンゾジアゼピン系、および非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬の種類
※下線は非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬

 

 

作用時間

商品名
臨床容量(mg)

一般名 消失半減期(時間)
超短時間作用型 マイスリー(5〜10) ゾルピデム

2

 

超短時間作用型 ハルシオン(0.125〜0.5) トリアゾラム

2〜4

 

超短時間作用型 アモバン(7.5〜10) ゾピクロン
超短時間作用型

ルネスタ(1〜3)

 

エスゾピクロン
短時間作用型 デパス(1〜3) エチゾラム
短時間作用型 レンドルミン(0.25〜5) ブロチゾラム
短時間作用型 リスミー(1〜2) リルマザホン 10
短時間作用型 エバミール・ロラメット(1〜2) ロルメタゼパム 10
中間作用型 エリミン(3〜5) ニメタゼパム 21
中間作用型 ロヒプノール・サイレース(0.5〜2) フルニトラゼパム 24
中間作用型 ユーロジン(1〜4) エスタゾラム 24
中間作用型 ベンザリン・ネルボン(5〜10) ニトラゼパム 28
長時間作用型 ドラール(15〜30) クアゼパム 36
長時間作用型 ダルメート・ベノジール(10〜30) フルラゼパム 65
長時間作用型 ソメリン(5〜10) ハロキサゾラム 85

 

 

不眠症のタイプによって、上記の睡眠薬が使い分けられます。

 

 

・入眠障害タイプ

 

腎機能障害・肝機能障害がある場合 ロルメタゼパム

 

神経症的傾向(ふらつき・脱力など)が弱い場合  ゾルピデム、ゾピクロン、エスゾピクロン、ラメルテオン

 

神経症的傾向(ふらつき・脱力など)が強い場合  トリアゾラム、ブロチゾラム、エチゾラム

 

 

・中途覚醒・早期覚醒タイプ

 

腎機能障害・肝機能障害がある場合 ロラゼパム

 

神経症的傾向(ふらつき・脱力など)が弱い場合  クアゼパム

 

神経症的傾向(ふらつき・脱力など)が強い場合  フルニトラゼパム、ニトラゼパム、エスタゾラム

ベンゾジアゼピン睡眠薬の副作用

日本で主流の睡眠薬、ベンゾジアゼピン系睡眠薬の副作用について解説していきます。

 

・持ち越し効果

 

持ち越し効果とは、睡眠薬の効果が翌朝以降も持続して出現するために、

 

日中の眠気、ふらつき、脱力、頭痛、倦怠感などの症状が出現することです。

 

先ほど解説した「作用時間」の長いものほど持ち越し効果は出現しやすく、高齢であるほど出やすいです。

 

持ち越し効果の副作用が強い場合は、睡眠薬を減量するか、作用時間の短いものへ変更するのがベターでしょう。

 

 

・記憶障害

 

ベンゾジアゼピン睡眠薬の副作用によって、記憶障害が引き起こされることがあります。

 

ベンゾジアゼピン睡眠薬による記憶障害は、前向性健忘と言われるものです。

 

前向性健忘とは、ある時点から未来の出来事に対する記憶障害です。

 

睡眠薬の服薬後から、寝付くまで、睡眠中の出来事、朝起きてからの出来事などに対する健忘を引き起こします。

 

記憶障害の副作用は、睡眠作用が強いものほど、作用時間が短いものほど起こりやすいと言われています。

 

また、アルコールとの睡眠薬の併用時に起きやすいです。

 

記憶障害の副作用が生じると、仕事をしている人にとっては大変ですね。

 

睡眠薬による副作用の影響を緩和するためには、睡眠薬を必要量異常には摂取せず、

 

重要な仕事は全て完了してから睡眠薬を服用するようにしましょう。

 

また、早朝の記憶障害の対策として、入眠時間を早くし、早めに起きるようにすると良いです。

 

 

・早期覚醒・日中不安

 

睡眠薬が必要量よりも不足している場合、早期覚醒・日中不安が起きてしまうことがあります。

 

また、連続して使用していると、日中に薬物の効果が消失してしまい、日中に不安が生じてしまうことがあります。

 

対策法としては、作用時間のより長い睡眠薬に変更することが考えられます。

 

 

・反跳性不眠・退薬症候

 

睡眠薬を連続して使用して、睡眠障害・不眠症が和らいできた時に、睡眠薬の服用き急に中断すると、

 

睡眠薬の服用前よりも、より強い不眠症が生じることがあります。

 

このより強い不眠に陥ることを反跳性不眠と言います。

 

不眠だけでなく、不安・焦燥、振戦、発汗、せん妄、痙攣などの退薬症候が出ることがあります。

 

これらの症状は、作用時間の短い睡眠薬ほど起こりやすいです。

 

一方、ω1受容体選択性の高い非ベンゾジアゼピン系睡眠薬や、ラメルテオンで反跳性不眠は起きにくいです。

 

 

反跳性不眠・退薬症候を防ぐためには、睡眠薬を急に0にするのではなく、

 

徐々に睡眠薬から離脱していくことが大事です。

 

徐々に減らす方法で上手く行かない場合は、

 

一旦、作用時間の長い睡眠薬に置き換えた後に、徐々に睡眠薬の服用量を減らしていく、という方法を取ります。

 

 

・筋弛緩作用

 

ベンゾジアゼピン系睡眠薬の副作用として、筋肉が弛緩しやすくなり、ふらつきや転倒の原因になることがあります。

 

筋弛緩作用の副作用は、特に高齢者で出やすいため、高齢者では転倒による骨折などには注意すべきです。

 

ω1受容体選択性の高い非ベンゾジアゼピン系睡眠薬や、ラメルテオンでは、筋弛緩作用が少ないです。

 

 

・奇異反応

 

奇異反応とは、睡眠薬を服用したのに、不安・緊張が返って強まり、興奮が強くなったり、

 

攻撃性が増したり、錯乱状態になったりすることです。

 

通常得られるはずの睡眠薬による効果と逆の効果が出てしまいます。

 

奇異反応は高用量を用いた場合に起こりやすいとされ、

 

特に、超短時間作用型の睡眠薬とアルコールの併用によって起こる場合が多いです。

 

 

 

 

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